日常的な病気

長引くせき

長引くせき

多くの方が長く続く煩わしい咳に悩まされ,また悪い病気にかかっているのではないかと不安に感じられたご経験があると思います.

かぜにしては咳がなかなかおさまらない、不思議だと思って、そのままにしていることはありませんか?そのような場合には漫然と咳止めの薬を飲んでいるだけでは、症状が治まらないことがあります。長引く咳は,その続いている期間によって次のように分類されています

急性咳嗽 3週間以内に収まる(感染症が多い.痰を伴う咳が多い)
遷延性咳嗽 4週間以上7週間以内に収まる咳
慢性咳嗽 8週間以上続く咳(アレルギー性,痰の出ない咳が多い)

咳の原因を見分けるためには

  • 来院時点の咳の持続期間(3週間以内か,8週間以上か)
  • 咳の性質
    • 痰が出てくるかどうか
    • どの時間に多いか
  • 咳の出ている季節(花粉症の時期と合致するか)
  • アトピー性素因があるかどうか
  • 誤嚥(むせ)していないかどうか
  • ある種の降圧薬(ACE阻害薬)を内服していないか
などを問診で確認します.続いて,身体診察を行います.
ここで最初に行うべきは,重篤な疾患が隠されていないかを確認することです.

この時には、まず胸部レントゲン写真を撮影します
胸部レントゲンで異常を認める疾患としては肺癌、肺結核、細菌性の肺炎、胸膜炎、気胸,間質性肺炎などがあります。 まずは、胸部レントゲンでこれらの疾患がないかどうかを確認します.必要により、痰の培養検査や胸部CT検査を病院に依頼するなどして行います.
次に、呼吸器疾患以外の原因がないかを確認します。
咳を呈する呼吸器以外の疾患としては、胃食道逆流症、降圧薬(ACE阻害薬)の内服、副鼻腔炎による後鼻漏などが原因としてあげられますので、これらの要因がないかどうかを確認します。
上記1・2の内容が除外できれば、最後に慢性咳嗽を呈する呼吸器系の疾患として原因を探っていきます。
一般的には、気管支喘息、慢性気管支炎、かぜ症候群後の咳嗽、副鼻腔気管支症候群(慢性気管支炎や気管支拡張症,びまん性汎細気管支炎などと副鼻腔炎の合併)、咳喘息、アトピー咳嗽などに分類されます。

以下のような症状がある場合には、受診されることをお勧め致します

  • 咳やたんが続いている。
  • 風邪をひくと咳が長引く。
  • 咳止めを飲んでも、咳が止まらない。
  • 明け方になると、咳のために目が覚めます。
  • 咳、息をするときに「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がする。
  • こどもの頃に「喘息」ではないかと言われた。
  • 親、兄弟に「喘息」の方がいる。

それぞれの原因に応じた治療があります

かぜ症候群後の咳嗽のように自然に治癒する疾患もあれば,適切な治療が必要な慢性咳嗽もあります.咳でお悩みの方は一度ご相談ください.

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