病気のおはなし

熱中症 (heat stroke) に注意しよう

近年増加している熱中症

熱中症は,従来高温環境下や運動中に発生することが多いとされていましたが,地球温暖化やヒートアイランド現象により,日常生活での増加が指摘されています.平成29年5月〜9月の熱中症による救急搬送患者数は52,984人,平成30年5月〜9月は95,137人と増加しています.日本の統計が開始された2008年以降,年々増加しているデータはありませんが,東京や大阪などの大都市部で人口あたりの患者数が多く,都市部のヒートアイランド現象の影響が疑われます.

2019年5月6日〜10日の速報値で,救急搬送患者は443人で,すでに熱中症の発生が現れてきています.

統計開始以後,日本国内の熱中症による搬送患者数は4〜6万人で推移している.より過去からの長期的なデータはまだ解析されていない.

都市別・年次別熱中症救急搬送者数

熱中症の種類と症状

熱中症は,重症度によって以下の4つに分類されます.特に「熱射病」が危険な状態で,すぐに病院の受診(または救急要請)が必要です.ただし,より軽症の段階で症状が見過ごされ,重症に変わって行く恐れがありますので,ちょっとした変化にも注意して行くことが大切です.

熱失神

皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより起こります。

  • めまい
  • 一時的な失神
  • 顔面蒼白
  • 脈は速くて弱くなる

熱けいれん

大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。

  • 筋肉痛
  • 手足がつる
  • 筋肉がけいれんする

熱疲労

大量に汗をかき、水分の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になり熱疲労の症状がみられます。

  • 体がだるい
  • 嘔吐
  • 頭痛
  • 集中力や判断力の低下

熱射病

体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。

  • 体温が高い(直腸温で40度以上になる)
  • 言動がおかしい
  • 呼びかけや刺激に対しての反応がおかしい
  • 嘔気,嘔吐
  • 皮膚が赤くなる
  • 呼吸が速い
  • 脈が速い
  • 頭痛

熱中症を疑った時の対応

  • 涼しい場所や日陰のある場所へ移動し、衣服を緩め、安静に寝かせる
  • エアコンをつける、扇風機・うちわなどで風をあて、体を冷やす
  • 意識がおかしい・水分が自分で取れない・けいれんしている・応急処置をしても治らなければ,119番を呼ぶ!(熱射病が疑われ,命に関わる恐れがあります!)

熱中症が疑われる時の応急対応(大塚製薬のサイトより引用)

熱中症の原因

熱中症は,深部体温の上昇によって引き起こされる病気です.高温な環境で激しい運動や作業をしたり,体からの熱の放出が起こりにくい状況になると発生します.

一般的なイメージ通り,炎天下の屋外で激しい運動や作業をする時に熱中症のリスクは高まります.

また,後述するように熱中症は,体内から余分な熱量の放出が妨げられることで発生する病気のため,体が暑さに慣れていない梅雨明けや,高温多湿な屋内も熱中症の危険があります.

熱中症になりやすい方

  • ご高齢の方やご病気により体力が低下している方(対応調節機能が低下している.喉が乾きにくい.暑さを感じにくい)
  • 子供さん(体温調節機能が未熟)
  • ある種のお薬を服用している方(血管収縮薬,降圧薬(メインテート,アーチストなどのβブロッカー),利尿薬,抗うつ薬,抗精神病薬など)

熱中症になりやすい行動

  • 高温下での作業,激しい運動(サッカー,陸上など)
  • 暑い季節に冷房を使わない(扇風機の方が快適かもしれませんが,温度・湿度は下がらないので,適度に空調を使って室内温度や湿度を下げる方が良い)
  • 着込み過ぎ
  • アルコール摂取
  • 飲水不足

熱中症の予防法

  • 部屋の温度をチェックする.出来れば温度だけでなく,WBGT (Wet Bulb Globe Temperature)を測定するとより安心.
  • 水分をこまめに摂取する.塩分(ナトリウム)とブドウ糖を同時に摂取出来る飲料(経口補水液など)が望ましい.
  • 外出時は体を締め付け過ぎない格好で,日よけ対策もする.
  • 無理をせず,適度に休憩を取る.
  • 日頃から体調を整える.

日常生活上のWGBTの基準

温度基準
(WBGT)
注意すべき
生活活動の目安
注意事項
危険
(31℃以上)
すべての生活活動で
おこる危険性
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒
(28~31℃※)
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒
(25~28℃※)
中等度以上の生活
活動でおこる危険性
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
注意
(25℃未満)
強い生活活動で
おこる危険性
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)より)

参考サイト

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