血液

血液のはたらき

血液のはたらきとは

ヒトをはじめとする高度な生物は,生命を維持するためにそれぞれ異なった機能を持った多数の臓器を持っています.

例えば,脳,酸素を取り込むための肺,食物を消化して栄養を取り込む消化管(食道・胃・小腸・大腸),様々な有害物質を分解したりエネルギーを貯蔵する肝臓,老廃物(例えば,二酸化炭素,乳酸,窒素)を体外に排泄して水分バランスを調整する腎臓,そして血液自体を全身に循環させる心臓などがあります.

これらの臓器は互いに距離が離れており,直接酸素や栄養素(ブドウ糖,アミノ酸,脂肪酸など),老廃物,水分をやり取りすることが出来ません.そこで,これらの臓器を血管が結び,その中を流れる血液が酸素や栄養物,老廃物,水分などを運んでいます.

血液が循環することで,体の隅々まで酸素や栄養素が行き渡り,また身体中の老廃物が蓄積されることなく排泄されています.

血液の循環

血液細胞のはたらき

血液は,赤い水のようにイメージされますが,実は,血漿成分と血球成分で概ね50:50の割合で構成されています.

血液成分は,赤血球,白血球,血小板から成ります.

血球のイメージ

血球のイメージ

流れるプール(血漿)に,所狭しとこれらのボール(血球)が浮かんでいるようなイメージです.

血液の赤い色は「ヘモグロビン」という物質の色ですが,これは血球部分ではなく,細胞成分の中でも最も大きな体積を占める赤血球の中に含まれています.ヘモグロビンの大きな働きは,酸素と結合し,より効率より酸素を運搬することです.なぜなら,化学の時間に習われたように,酸素はほとんど水には溶けません.しかし人間の体は大量に酸素を必要としますので,ヘモグロビンが無ければ酸素不足に陥ってしまい,生命を維持できないのです.

貧血とは,医学的にはヘモグロビンが減少した状態を指します.何らかの原因でヘモグロビンが減ってしまうと,血液の酸素を運搬する能力が落ちてしまい,体が酸欠状態になってしまうことで,息切れしたり,疲れやすかったりという症状を起こすというわけです.

ただ,ヘモグロビンが直接血漿成分に溶けていたら,赤血球は不要ではないかと思われますが,仮にヘモグロビンが血漿の中にあれば,血液がネバネバになり循環を保てない(血液が詰まるなど)のと,ヘモグロビンが腎臓に大量に流れ込むと腎障害を起こすため,赤血球の中にヘモグロビンが封印されているのだと考えられます.

赤血球以外の細胞成分として,白血球は免疫に関係し,血小板は止血の機能を持っており,いずれに生命維持には欠くことが出来ません.これらは血液中に大量に存在します(白血球は,血液1μL(1ccの千分の1)の中に3000-9000個,赤血球は500万個,血小板は30万個は存在します.ちなみに人間の血液は体重の約8%です)ので,少々の異常であれば基本的に症状はありません.そのため,発症した時には非常に重大な状態で,命に関わることも稀ではありません.

血液のはたらき ーまとめー

1. 血液は,細胞成分(白血球,赤血球,血小板)と液性成分(血漿)から成り立っている.
2. 血液は,体を構成する細胞に必要な酸素,栄養素を運びし,二酸化炭素や老廃物を運び出す「運搬」機能を持つ.
3. 体に侵入してきた細菌やウイルス,カビなどの異物を排除する「免疫」の働きを担う.
4. 血管が破綻した時に,直ちに止血して大出血を防ぐ.

健診でも血液検査は大きなウェイトを占めています.特に白血球や赤血球,血小板などの数値の異常を指摘されることは珍しくありませんが,専門医は少なく,地域の期間病院に数名だけ在籍していることが多いです.当院は,地域のかかりつけ医を目指していますが,血液の異常についてのエキスパートとしての診療も行っています.健診などで疑問を持たれた場合など,どうぞお気軽にご相談ください.

関連記事