血液検査の基準値とは?
血液検査をして,異常値があれば体のどの部分に病気があるかという目安になります.様々な検査項目を調べることで,異常が起こっている臓器を推定することが臨床検査の目的です.
検査結果の数値が異常かどうかを判断するための基準の一つが「基準値」です.実際に,病院や健康診断でもらう検査結果を見てみると,「○〜○」といったように数値の範囲で記載されていることが多いと思います.これは「基準範囲」というもので,その数値の範囲内が基準であるということです.
「基準範囲」とは,特に病気のない健常者を複数人連れてきて,その検査を行い,検査の数値を下から順番に並べた時,下位2.5%から上位2.5%の範囲を言います.
簡単に言えば,健康な人1000人にある血液検査(例えば白血球数)を行って,その結果を数値が小さい順に並べた時,下から数えて25番目の数値と975番目の数値を取り出して,「(25番目の数値)〜(975番目の数値)」というのが白血球数の基準範囲になります(※).
そうすると,健康であるにも関わらず,1〜24番目の数値を持つ人は異常低値,976番目〜1000番目の数値を持つ人は異常高値となってしまいます.
したがって,根本的に基準範囲内にあるかどうかだけでは,その数値が異常なのかどうかは分からないことになります.さらに,同じ健康と言っても,年齢によっても数値は変わってくる場合があるので,そうなるとますます基準範囲の意義がわからなくなってきます.
実際には,患者さんの体の状態や,過去の検査結果を見て,今回の検査結果が異常かどうかを判断する必要があるのです.とはいえ,明らかに基準範囲を外れた数値であれば,それだけで異常と捉えられますので,全く意味がないわけではありませんし,大いに参考になる指標です.