新型コロナウイルスのパンデミックに適応した生活を
世界的な流行(パンデミック)が続く新型コロナウイルスは、当初医療者や専門家が予想していたよりも、社会や健康に大きなインパクトを与えています。幸い日本では、身近な人が次々と感染して行くという状況にはなっておらず、どちらかと言えば社会経済への影響を実感する方が多いのではないかと思います。
ただし、人類と新型コロナウイルスパンデミックの闘いは、まだ始まったばかりです。正直なところ、私達がこれまで日常と思っていたような生活は、数年間戻ってこないと覚悟する必要があります。そのため、新型コロナウイルスパンデミックに適応した生活を新しく築いていく必要があります。
これまでは、新型コロナウイルスに関する記事は作成してきませんでしたが、これからは「新しい生活様式」を身につけていくために必要と思われる情報を中心に発信していきたいと思います。
新型コロナウイルスは、発症後2日前から1週間後まで感染性を持つ
新型コロナウイルスの潜伏期間は最大14日間とされてきましたが、新型コロナウイルスを発症した人から別の人に移すのは、一体いつ頃なのかというのは分かっていませんでしたが、それについて大きな報告(Nat Med: 15 April 2020)がありました。
結論は以下のとおりです。
新型コロナウイルス感染症を発症した人(発端者)から別の人(2次感染者)が感染するまでの日数:平均で5.8日(95%信頼区間4.8-6.8日)、中央値は5.2日(4.1-6.4日)。
新型コロナウイルス感染症の発端者が感染性を持つ期間:感染性は、発症の2.3日前(0.8-3.0日)から現れ、発症前0.7日(-0.2から2.0日)時点で最大となり、約1週間後まで続く。
つまり、新型コロナウイルスは発症後かなり早い時期しか感染性を持たないことがわかりました。ただ厄介なことに、発端者が発症する1〜3日前から感染性を持っているため、周りが気が付かないうちに感染してしまっている例が多かったことがわかりました。この研究では、44%の新型コロナウイルス感染者が、発端者の発症前にうつされてしまったことが推定されています。
また、この意味で、症状がない人がマスクを着用することは、新型コロナウイルスの伝染防止には役立つかもしれません。マスク自体でどれだけ感染が減らせるのかについてのエビデンスはまだないのですが、マスク着用で飛沫量は格段に減らせる(アベノマスクでさえも)ので、これからも公衆でのマスク着用は必須になっていくでしょう。
参考文献
- Gandhi RT, Lynch JB, del Rio C. Mild or Moderate Covid-19. Solomon CG, editor. N Engl J Med. ; 2020 Apr 24.
- 2. He X, Lau EHY, Wu P, Deng X, Wang J, Hao X, et al. Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19. Nat Med. ; 2020 Apr 15;382:1–4.