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帯状疱疹とはどんな病気?
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、子どもの頃にかかる水ぼうそうを引き起こすウイルスが原因で発症する病気です。このウイルスは水ぼうそうが治った後も体内の神経に潜伏しており、免疫力が低下した時に再活性化して帯状疱疹を引き起こします。
患者様とワクチンについてお話をしている際に、患者様がよく「昔、私は水疱瘡にかかったことがあるから、大丈夫(かからない)と思う」とおっしゃることがありますが、これは大きな誤解で、『帯状疱疹は水疱瘡にかかったことがある人が掛かる病気』で、むしろ帯状疱疹になる可能性があるということになります。
逆に、「私は水疱瘡にかかったことはないから、大丈夫(かからない)と思う」とおっしゃる患者様もいます。確かに、本当に水疱瘡に未感染であればその通りなのですが、水痘の生ワクチンを接種したことがあれば帯状疱疹になる可能性がありますし、感染していても発疹が出なかった可能性や、感染したことを忘れてしまっていることもありうるので、本当に帯状疱疹ワクチンが不要なのか、太鼓判を押すことは出来ないとご説明することもあります。
帯状疱疹の症状
- 痛み: 体の片側にピリピリとした痛みが現れます。
- 発疹: 痛みのある部分に赤い斑点ができ、その後水ぶくれに変わります。
- かゆみ: 発疹が出る前にかゆみを感じることがあります。
- 帯状疱疹後神経痛: 水ぶくれが治った後も痛みが続くことがあります。
- 眼部帯状疱疹:結膜炎による充血(赤目)、角膜炎(黒目のキズ)や虹彩炎(茶目の炎症)が起こる場合があります。網膜炎に至ると失明する恐れがあります。眼窩周囲に水疱が出来た時は、必ず眼科を受診する必要があります(当院で眼部帯状疱疹を認めた場合は、当院での診療後、すみやかに眼科医をご紹介しています)。当初は目に症状が無くても、少し遅れて目に症状が出る場合があります。
帯状疱疹の発症率
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帯状疱疹は特に高齢者に多く見られます。50歳以上になると発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると言われています。米国では、ワクチン未接種の場合、80歳までに約50%が帯状疱疹を発症するというデータがあります。
- 帯状疱疹は、免疫不全の方でかなり高頻度に発症するとされています。具体的には、造血幹細胞移植を受けた患者、固形臓器移植を受けた患者、造血器悪性腫瘍患者(悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫など)、固形腫瘍患者(血液がん以外の癌)、HIV患者の順に高リスクとされています。

免疫不全の原因別の帯状疱疹の発症率. Clin Infect Dis. 2020 Oct 23;71(7):e125–e134. doi: 10.1093/cid/ciz1090
帯状疱疹の患者様の隔離・感染対策
帯状疱疹は、水疱のある時期に最も感染性があります。膿疱・痂皮化したときは感染性はありません。
- 患者さんが免疫不全ではない場合:水疱をすべて覆って、周りの人は素手で水疱を触らないようにしてください。触った後はアルコールで手指衛生を行ってください。
- 患者さんが免疫不全の場合:標準予防策+空気感染予防が必要です。隔離を行うことが必要ですが、基本的には「入院適応」となりますので、ご家庭で見ることはないと思います。
帯状疱疹の予防
帯状疱疹の予防は、ワクチンの接種が必要です。特に、高齢者で発症率が高く、帯状疱疹後神経痛で慢性疼痛が残り、苦痛が長引き、高額な鎮痛薬やペインクリニックの利用が必要なため、医療費も高額になることがあり、50歳以上の方にはワクチン接種が推奨されています。
帯状疱疹 定期接種
対象者
芦屋市に住民登録のある方で、次のいずれかに該当する方
- 年度内に65歳を迎える方
- 60~64歳でヒト免疫不全ウイルスにより日常生活がほとんど不可能な免疫の機能の障がい(身体障がい者手帳1級相当)がある方
- 令和7年度から令和11年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳(※)となる方も対象となります。
※100歳以上の方については、令和7年度に限り全員対象となります。
注意事項
- 過去に帯状疱疹の予防接種を受けた方は、原則定期予防接種の対象外となります(具体的には、乾燥弱毒生風しんワクチンを1回、不活化ワクチンを2回接種している方は対象外)。
- 「前回完了してから一定時間が経過し、ワクチンの有効性が減衰したと考えられる場合など帯状疱疹の予防接種を行なう必要があると医師が判断した場合は定期接種の対象となる」とありますが、具体的な判断基準はありません。現時点では、いずれの帯状疱疹ワクチンが何年たてば効果が薄れるのかデータが無いため、個人的にはこの規定はどう使えばいいのか、理解できません。
- 帯状疱疹の定期接種の対象者となる前に、乾燥弱毒帯状疱疹ワクチンを1回接種したことのある方は、医師の判断に基づき、定期接種として2回目の接種を乾燥組換え帯状疱疹ワクチンを使用する場合の間隔に準じて行なうことができます。
接種料金・接種回数
ワクチンの種類 | 接種料金(税込)※ | 接種回数 |
---|---|---|
乾燥弱毒水痘生ワクチン | 1回4,000円 | 1回 |
乾燥不活化ワクチン(乾燥組み替えワクチン) | 1回11,000円 | 2回 |
※接種だけの受診時は、その他診察代・検査代などの追加費用は不要です。(通常の診察と同時にワクチンを接種される場合は、別途通常の診療にかかる費用は必要です)
当日持参頂くもの
1. 帯状疱疹予防接種券(はがき)
2. 本人確認書類(運転免許証等、健康保険証等)
3. 接種費用
4.自己負担免除通知書(生活保護を受給されている方)
5. 身体障がい者手帳(60~64歳の該当の方)
関連情報
生ワクチン・不活化ワクチン どちらのワクチンがおすすめか
定期接種でも乾燥弱毒水痘ワクチン(生ワクチン)と、乾燥組換えワクチン(不活化ワクチン)の両方の接種が認められており、これらはまったく別の薬剤になるため、新型コロナワクチンの時と同様、自治体など公から「自分はどちらを打つべきなのか」の情報は与えられず、接種を受ける方は大変悩まれていると思います。
有効率などのデータについては、Copilotに出力してもらった表を転載いたします。
乾燥弱毒水痘ワクチン(生ワクチン) | 乾燥組換えワクチン(不活化ワクチン) | |
---|---|---|
有効率 | 50〜59歳:約70%と比較的高い 60歳以上:約50%、帯状疱疹後神経痛の予防効果は約66.5%維持 |
50歳以上:発症予防効果 約97%、帯状疱疹後神経痛予防効果 100%
70歳以上:発症予防効果 約90%、帯状疱疹後神経痛予防効果 約85.5% |
長期効果 | 1年後:約6割以上
5年後:4割以上 |
1年後 9割以上
5年後 9割以上 9年後 7割以上 |
免疫不全患者への接種 | 禁忌 | 可能 |
副反応 | 比較的少ない | 比較的多い(肩の痛み、発熱、倦怠感、頭痛など) |
再接種 | エビデンス無し | エビデンス無し |
価格 | 1回4000円 | 1回11,000円×2(定期接種の場合) |
交互接種 | 不活化ワクチン接種後の接種はエビデンスなし | 生ワクチン接種後の接種にエビデンスあり |
効果で言えば、不活化ワクチンに軍配が上がります。生ワクチンは、特に発症しやすい60歳以上で予防効果が50%に低下してしまうのが辛いところです。また、生ワクチンは長期効果が5年後に4割に低下するということですので、それ以降は効果を期待できなくなることが予想されます。
いずれのワクチンも、ブースト接種(再接種)についてはエビデンスがありません。不活化ワクチンは9年時点で高い有効性が維持されていますので、しばらくブースト接種は必要ないと思われます。今後さらにアップデートしたデータが公開されると思いますので、そのデータ次第になるかと思います。
まとめますと、

基本的には、不活化ワクチンがおすすめ
となります。ただ、生ワクチンのウリは、「副作用の少なさ」と「値段の安さ」になります。まだ50歳くらいで、とりあえず打っておかないと不安だ、という方は選択してもよいかと思います。また、不活化ワクチンは、生ワクチンを接種した後で接種しても効果があったというエビデンスがあるため、その意味でも生ワクチンを先に打って、後年不活化ワクチンを接種するという選択しも可能です(ただし、定期接種は出来ません)。
帯状疱疹ワクチンの助成について
帯状疱疹ワクチンの公費助成の延長と条件変更
2025年3月31日までとされていた芦屋市の帯状疱疹ワクチンへの助成金制度ですが、2026年3月31日まで延長が決まりました。
- 助成額:4,000円(1回のみ)
- 対象者:芦屋市に住所登録があり、接種を希望する方で、予防接種を受ける日において満50歳以上で、かつ2026年3月31日時点で60歳以下である方。(ただし、定期予防接種の対象者や、これまで兵庫県内で同様の助成を受けたことがある方は対象外です)
注意点としましては、シングリックスは2回接種が必要ですが、助成金が出るのは1回のみであることです。当院の場合、1回目は18,000円、2回目は22,000円(ともに税込)となります。