2024年に、鼻噴霧型のインフルエンザワクチン(略称LAIV, 商品名:フルミスト™)が発売になりました。
これは、小児(2歳〜19歳未満)が適応になるインフルエンザワクチンです。注射が不活化ワクチンなのに対し、鼻噴霧型は生ワクチンとなります。
投与方法は、両方の鼻に0.1mlのワクチンを1回ずつ噴霧するというものです。
効果
効果は、2歳〜19歳未満の小児に対しては、注射型と同等とされています。ただ、注射型の効果が2〜3ヶ月程度で失われるのに対して、LAIVは1年程度効果が持続しますので、インフルエンザワクチンの流行パターンが従来と変わってきて、いつごろ流行するか分からなくなったことを考えれば、より有用と考えることが出来ます。
インフルエンザウイルスは A 型、B 型(と C 型)に大別され、特に A 型は 144 種類の亜型があります。B 型はYamagata 系統とVictoria 系統の 2種ですが、フルミストは、注射型と同じく、
- A/Victoria(ビクトリア) /4897/2022(IVR-238)(H1N1)pdm09
- A/California(カリフォルニア) /122/2022(SAN-022)(H3N2)
- B/Phuket (プーケット) /3073/2013 (山形系統)
- B/Austria(オーストリア) /1359417/2021(BVR-26)(ビクトリア系統)
の4種類をカバーしている4価ワクチン(LAIV4)です。
副作用
- 鼻汁、喘鳴、頭痛、吐き気、筋肉痛、発熱、のどの痛み、咳
などが出現する場合がありますが、基本的にはまれです。
このワクチンは生ワクチンのため、生きたウイルスが含まれていました。しかし弱毒化されており、基本的には接種したことでインフルエンザになることはありません(高度に免疫不全の場合は除きます)。このワクチンに含まれるウイルスは、寒冷環境に適応するように作られているため、鼻腔のような比較的低温な環境では増殖できますが、肺などの温度が高い環境では増殖できないのも安全性の理由です。
このワクチンを使用できない子ども
- 免疫不全症の子ども(免疫抑制剤を使っている方を含む)
- 重度の喘息 または 2歳以上4歳以下で喘息がある子ども
- フルミストの成分(ゼラチンなど)に重度のアレルギーがある子ども
- 妊娠中の女性
- 48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用した者
- 発熱している子ども、熱の有無によらず重篤な病気にかかっている子ども
などになります。
医学的な理由ではありませんが、鼻腔にワクチンを入れるため、鼻に何かを入れることを怖がるお子様や、非常に抵抗するお子様には投与は難しくなっています。
参考:日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する推奨
- 不活化インフルエンザ HA ワクチン (正式名称: インフルエンザ HA ワクチン) (inactivated influenza vaccine:IIV) と経鼻弱毒生インフルエンザワクチン (live attenuated influenza vaccine: LAIV) の間にインフルエンザ罹患予防効果に対する明確な優位性は確認されていません。
- ①2 歳〜19 歳未満に対して、不活化インフルエンザ HA ワクチンまたは経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのいずれかのワクチンを用いたインフルエンザ予防を同等に推奨しますが、特に喘息患者には不活化インフルエンザ HA ワクチンの使用を推奨します。経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは飛沫又は接触によりワクチンウイルスの水平伝播の可能性があるため、授乳婦、周囲に免疫不全患者がいる場合は不活化インフルエンザ HAワクチンの使用を推奨します。
- ②生後 6 か月〜2 歳未満、19 歳以上、免疫不全患者、無脾症患者、妊婦、ミトコンドリア脳筋症患者、ゼラチンアレルギーを有する患者、中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある患者に対しては不活化インフルエンザHA ワクチンのみを推奨します。
費用
当院では、8,000円(税込)で接種をさせて頂きます。
予約方法
ご予約は、お電話(0797-61-5335)または、ネット予約(インフルエンザワクチン」のメニュー)で受け付けております。
来院時に受付で「鼻噴霧型」を希望する旨をお伝えください。