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電動診察椅子 (タカラベルモント CREX)

当院診察室1に設置している電動診察椅子が,椅子からベッドに変わっていく動画です.

一般的な内科の診察室では,患者様の診察椅子とベッドが置かれていますが,この椅子にすることでベッドを置く必要がなくなり,限られたスペースを有効活用することができます.

私がクリニックの内装を作る際,外観やファサードについてはマツヤアートワークス様に一任しましたが,クリニックの部屋構成や使い方は,クリニックのコンセプトに基づいて自ら考えました.日本語で書かれたクリニックの設計の本は,基本的には開業コンサルタント,クリニックの設計業者向けのものしかなく,非医療者に○○科ではどのような部屋・設備が必要かということがメインの内容でした.それはそれで大変有用(クリニックとしてあるべき最低限の設備・動線設計が理解できる)でしたが,私のような(最新の医療施設で働いてきた)医療者の目からすれば,やや時代遅れと思われる記載もあり,感染防止への配慮や,電子カルテを始めとする医療のIT化への対応などが不十分と考えられる部分も多々見られました.非医療者が書いている本であり,基本的には「現在ある病院・クリニック」をまとめたものに過ぎず,将来あるべき姿を記したものではないように思われました.

私はアメリカでの医療を経験していませんが,医療の最先進国であるアメリカのクリニックの形を知るための書籍や論文を検索しました.論文もいくつも読み,“Modern Clinic Design: Strategies for an Era of Change” (Christine Guzzo Vickery)という書籍に行き当たりました.流石にアメリカの病院は広いため,身体所見を調べる部屋と説明を行う部屋が別々になっており,身体所見を調べる部屋では,大きな電動椅子ベッドがあり,そこで様々な検査ができるようになっていました.一方,日本の内科の診察室は,基本的には医師と患者が向かい合って座り,隣にベッドがあるという構造になっていますが,私の前に所属していた施設の内科でも,ベッドを使ったお腹を触ることは殆どなく,患者さんのご家族のベンチとして使われるのが常でした.ご高齢であったり,体が不自由な方が多くおられる外来で,このような患者さん自らが移動が必要な診察ベッドは実際には使いようがない家具となっています.そこで,診察室には患者さんの椅子であり,診察台にもなる機器が必要という考えに至り,インターネットで検索をしたところ,この製品に辿り着きました.