新型コロナウイルス

無症状者に新型コロナウイルスPCR検査は必要か

2020年7月17日から無症状者への唾液を用いた新型コロナウイルスのPCR・抗原定量検査が保険適応になりました(厚生労働省ホームページ「無症状者の唾液を用いたPCR検査等について」)。

ただし、前提として、このような無症状であって新型コロナウイルス検査を行う対象は、保健所が行う行政検査の対象にならないものの、検査が必要と考えられる人(具体的には、空港検疫や、病院で手術を行う前のスクリーニング検査など)であって、希望すれば誰でも保険を使って検査を受けられるわけではありません。

新型コロナウイルスの再増加に伴い、濃厚接触者でなく、かつ無症状であっても、新型コロナウイルスのPCR検査を希望する方がおられます。

しかし、現時点(2020年7月17日現在)では、どこでうつるのか分からないほど多数の感染者がいるような状況ではないと考えられ、無症状で検査を受けても、陽性になる可能性は非常に低いと考えるべきです。

また、PCR検査は、検査時点で新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる検査方法と言えますが、検査を受けて数日後に発症するかどうかは判断できません。検査を受けて陰性を確認しておくほうが、検査もせずに「自分は感染していない」と過信して他人に移す可能性がある行動をとるよりは優れた態度と言えますが、仮に陰性と出ても、感染している可能性はゼロではないと考え、慎重な行動(新型コロナウイルスを予防するための行動)は求められます。

また、検査結果が「陰性」であることを期待して検査を受ける場合(いわゆる「陰性証明」が欲しい方の場合)、仮に陽性になってしまった場合、偽陽性か否かの鑑別は容易ではなく(そして、真の感染者が少ない状況での検査は、偽陽性が多くなります)、ご家族や職場の方、ご友人などが濃厚接触者になってしまい、学校やお仕事などに大きな影響を与えてしまうかもしれません。

無症状での検査は、メリットの一方デメリットも多くなります。検査を前に医師とよく相談する必要があると思います。

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